現下の状況において社会民主主義政党が主張すべき経済政策とその内容について~緊縮と反緊縮を超えて~

20200320 高橋良平


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★要旨
原則を確認し、それを貫徹するために以下の財政政策を行う。
・当面今後1年間分50兆円の財政政策資金を1ヶ月以内に準備する。
・現実に影響を受けている特定産業に無利子・無担保・無期限で融資を行う。
・特定産業は2週間ごとに見直し、必要に応じて継続的・横断的に行う。
・状況判断は2週間を単位に行う。
・必要な場合は財政政策資金を増強する。
・実際の政策は業界団体を仲介として金融機関と連携して行う。

★当たり前のはなし
アメリカと中国の両方が景気回復しないと日本もEUも世界も景気回復はむずかしいです!!!!!

★社会民主主義政党の現下の状況における経済政策の原則
・絶対に倒産させない
・絶対に失業させない
・絶対に生活を困窮者させない
この3原則を現在進行している不況に対する社会民主主義政党の基本原則にするべき。

★現在の状況
 今回の不況は信用不況ではない。回収困難な負債や債務の焦げ付けといった架空(金融)資本の危機ではなく、まさに実体経済の危機である。つまり生産、流通、消費側面の危機である。この実体経済の危機において、重要なのは、産業部門において緊急性が非常に異なるということと、今回の危機の継続性が予測困難であるということの2点である。この2つの特徴に対して柔軟に対応することが社会民主主義政党の経済政策にもとめられている。

★産業部門において緊急性が非常に異なる
今現在国内の産業において危機的な状況に置かれているのは、いわゆるインバウンド業界、飲食業界、イベント関連、遊興業界等である。これらの業界は大規模な倒産とリストラの危機に瀕していると考える。それゆえこのような産業に重点的に経済支援を行うことが必要である。
業界全体、つまり国民経済全体に対する全般的な支援(減税、現金給付)を行うことは(乗数)効果としても、また継続性の観点からも望ましくない。実際の効果が低いということもあるが、不況の深刻さが曖昧になり、政策の原則がぶれる可能性がある。現在の状況は格差の是正・縮小でもなく、景気の回復でもない。今は「★現在の状況」において指摘した経済政策の原則を貫徹する時期である。つまり攻める時期ではなく守る時期である。
 問題なのは実効性である。業界団体を活用するしかないが、これは不正の温床にもなるし、また統制経済的な側面も有する。しかし、重要なのは原則である。それゆえあらゆる政策と協働を動員して業界団体の活用を通じた特定産業への無利子・無担保・無期限の融資を保障するべきである。

★危機の継続性の予想困難
 欧州ならびに米国(そして五大陸すべて!)における感染の拡大が予想困難である。とくに米国は困難である。最悪治療薬が登場してからの拡大の終了というシナリオもあり得る。そしてそれは世界経済にそのまま影響をあたえる。
  現在、国内特定産業の経済損失が喫緊の課題であるが、この状況が産業部門をまたいで伝搬し、継続化する可能性がある。そして、そのような状況において倒産、失業、生活困窮者を出さない政策が必要になる。つまり継続性を担保する政策が必要になる。
 重要なのは時間をどう整理して考えるかである。単位は2週間である。2週間単位で継続性と産業部門を判断する必要性がある。

★具体的?な政策
・特定産業部門に対して集中的な支援を行う必要がある。産業連関表を用いて、また街頭や実際の動向を踏まえて運転資金(当面、その後設備投資)への融資を行う必要がある。
・予想される不況が長期にわたる可能性があるために、融資においては、当面その返済期間を設けない、ということが重要である。当然、特定産業部門の選定も柔軟に行う必要がある。
・そして、上記2点を踏まえると、政府の経済政策の予算策定において重要なのは、弾力的な準備資金である。幅を持たせた準備資金を用意する必要がある。目安になるのは年間GDP500兆円の1割、50兆円である。と言っても直近(2週間)はその1割5兆円程度で足りると考える。
・3月23日より4月第一週にかけて、インバウンド、イベント、旅客航空産業に対して重点的な支援を行うとともに、重要なのは50兆円の財政出動を念頭におきつつ、現在においては返済期間を設けない融資を、特定産業に対して、継続的、また必要に応じて特定産業間横断的に準備することである。

★緊縮と反緊縮を超えて
 消費税にも現金給付にこだわるべきではない。こだわるべきは情勢の特徴である。情勢の特徴は不況の継続性と特定産業間の横断性である。

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